登山にはさまざまマナーがあることはご存知でしょうか?ただ、初めて登山される方はどのようなマナーがあるのかわからないですよね。
マナーには、安全に登山するためのものもあります。間違えることで自分の命や周りの人の命も危険にさらしてしまう恐れもあるので、まずはマナーをしっかり確認しておきましょう。また、マナーを守ることで愛する自然を守ることにもつながります。
この記事を読むことで山の基本的なマナーを覚えることができます。みんなが登山を快適にするために、一定の基準が必要です。基礎知識として山のマナーを覚えておきましょう。
そこで今回は「登山マナー」について詳しく説明していきます。
最低限知っておきたい登山マナー15選
①必ず登山保険に加入する。
山は、初心者・経験者を関係なく、猛威を振るうことがあります。また、低山でも多くの遭難が発生しています。
山登りを始めるなら、保険に入ることがマナーの1つです。不運にも自分が遭難してしまった場合、捜索をしてもらう際に多額の費用が掛かることがあります。その際の費用を賄うことができます。また、保険に入っていることで民間の捜索隊をすぐに手配でき、迅速に捜索を行うことができ、助かる可能性も高まります。特にご家族がおられる方は、遭難すると精神的につらいのに費用の面でも多大な迷惑がかることを認識してしっかりと備えることが必要です。
民間の登山保険には、登攀や雪山など 本格登山を対象にした保険 と、軽登山やハイキングのような 危険度が少ない登山を対象にした保険 の大きく分けて2種類があります。両者の線引きは保険会社によっても異なります。また、補償内容もさまざま存在しますので、保険会社に問い合わせを行い、自分の登山スタイルにあった保険を選びましょう。
自分はjRO 日本山岳機構に加入しています。

②登山計画を知り合いに伝え、登山計画を必ず提出する。
万が一、山で遭難してしまうと、周囲に誰もいないし携帯も通じない事があります。そんなときに、生死を分けるポイントは、誰かに登山計画を伝えているか、しっかりと登山届を提出しているかです。誰かに遭難を気づいてもらい、アクションを起こしてもらう。これが重要です。
必ず家族や知人に登山計画を伝えておき、下山予定時間過ぎても帰宅・出社をしなければ、捜索をしてもらうように依頼しておくことが重要です。依頼をするときは明確に伝えておかないと動いてもらえない可能性が残ってしまいます。
登山届については、警察が捜索依頼を受けたとき、登山届(計画書)があれば捜索すべき範囲を特定しやすく、初動捜査が早くなり結果として救助される可能性が高まります。登山届の内容はしっかりと書きましょう。保険に入っているのであれば、その旨も記入しエスケープルートを設定している場合は、そのルートを記載することを忘れないようにしましょう。
登山届は、登山口のポストに投函するほかに、管轄する警察署へ郵送やFAXで提出する事もできます。最近では「Compass」というインターネットで全国の山域の登山届を提出する事ができ、下山通知機能もあり安否確認もできます。利用は無料なので出し忘れ防止もできる為、強く使用する事をおすすめします。
自分はどんな低山でも必ず、Compassで登山届を提出しています。

③レベルに合った登山をする
まずは、無理をしない登山をするのが重要です。山で無理をすることで、自分の体調に異変が起きて遭難してしまうことがあります。また、技術が伴っていないのに鎖場に挑戦すると滑落の危険性が高まります。登山を楽しく安全にするためには、小さく初めて少しずつ経験を積んでいくことをおすすめします。
自分の経験になりますが、今まで5時間程度しか歩いていないのに、8時間以上のコースでしかもマイナールートに挑戦した際に5時間半くらいから膝が痛くなり、まともに歩けなくて大変でした。また、マイナールートの為、登山道も荒れ果て心が折れそうになりました。こういう思いをすると楽しいはずの登山が嫌いになってしまうと思います。
山のレベルを図るために「山のグレーディング」があります。一覧表があり、登山ルートの地形や特徴に基づいて体力度(10段階)と技術的難易度(A〜Eの5段階)で評価・分類したものです。山のグレーディングを活用して、無理な登山を避けて遭難を防ぎましょう!

④ゴミは家まで持ち帰る。
山行中に出たゴミはすべて、家まで持ち帰りましょう。山へ持ち込んだゴミを山小屋のゴミ箱に捨てるのも厳禁です。できるだけゴミになるものは持って行かないように配慮が必要です。密閉できる袋を持っていくのをおすすめします。
自分はモンベルのガベッジバックを利用しています。液漏れやにおいの心配がなく、ゴミをしっかりと持ち帰ることができます。
アメの包装紙などの小袋やティッシュペーパーは、風で飛ばされやすいです。ゴミ袋を確実に閉める習慣をつけましょう。また、ポケットにはアメと包み紙などのゴミをいっしょに入れず、専用のゴミ袋を用意するなどしよう。

⑤汚水や残飯を捨てない。
山での自然を守るために汚水や残飯を捨てないようにしましょう。微生物が少なく分解の遅い高所で汚水を流すと、下流域にも影響が出てしまいます。残飯も捨てないようにしましょう。残飯を捨てれば、熊がそれを食べてその場所に住み着いて人を襲うなど、生態系にも影響が出るのでNGです。意外かもしれませんが歯磨き粉や化粧落としの洗顔なども悪影響がありますので注意が必要です。歯磨き粉は成分としては化学物質がほとんどで、自然界で分解されません。歯磨き粉の中には、さらに清掃助剤としてプラスチック製のマイクロビーズが使われており、生態系への影響は大きいと言われています。
山で使用できる歯磨き粉もあります。自分も持っているのがオーラルピースでケミカルフリーになっていますので検討してみてはいかがでしょうか?

⑥植物や石などむやみに採取しない。
生態系保全のため、少量であっても持ち帰るのはNGです。また、同じ理由で外来の植物や動物を山に持ち込まないのも気を付ける必要があります。国立公園内で採取すると条例違反になってしまいます。高山には珍しい種類の花やきれいな花があり、登山中に見かけたら登山の記念についもって帰りたいと思う気持ちになるのはわかります。ただ、山でとっていいのは写真だけです。自分の大好きな自然を守るためにも必ず守りましょう。

⑦登山道から外れない
登山道は安全に歩けるように整備されています。登山道を外れることで、滑落や転落のリスクが高まります。また、高山植物が豊富な場所では、登山道を外れて歩くことで植物が死滅して自然破壊につながります。登山道から不用意に外れないようにしましょう。

⑧登山道をふさがない。
登山道をふさいでの休憩や写真撮影はマナー違反です。特にグループ登山をしているときは要注意です。みんなで楽しく登っているといつの間にか広がって歩いてしまい、登山道をふさいでしまったりします。後ろから早い方が来られた際は、最後尾の方がグループメンバーに声をかけ、安全にかわせる場所に退避して道を譲ってあげましょう。
⑨山のトイレは、ルールを守る。
山に設置されたトイレにはいろいろな形式のものがあります。利用する際は、注意書きをよく読んで、ルールを守りましょう。よくあるのが、使用済みのトイレットペーパーは便器に捨てずにゴミ箱に捨てて、利用後はバケツに汲んである水を便器に流す方式です。そのほかに微生物で分解するバイオトイレです。利用方法を間違うと分解しきれなくなりますので気をつけてください。山のトイレでは、利用料の名目で料金箱が設置されているところがあります。金額ですが、場所により様々で100円から300円くらいです。山のトイレは特殊な環境にあるため、維持管理するのに多大のお金がかかります。利用の際にはきちんと払えるように、100円玉を6枚くらい携帯しておきましょう。

⑩山での行動は早発ち・早着きを心がける。
こちらは、テント泊や小屋泊をする際に注意が必要なマナーです。少なくとも日没の2~3時間前には到着し、テント泊であればテントの設営を終え、食事をし、日没後には就寝するというサイクルが基本となります。山小屋は明るいうちに到着し、明日の登山準備を早めに済ませましょう。
また、早発ち・早着きは泊りだけではなく、日帰りでも気を付けてほしいです。マナー違反ではありますが、山の天気は変わりやすく、午後には豪雨になったりします。また、早く登山を開始する事で、何かトラブルがあった際でも時間に余裕ができ遭難するリスクを低減する事ができます。

⑪登山中は周囲への配慮・注意を怠らない。
特にグループ登山をしていると、自分たちの世界に入ってしまい廻りが見えなくなってしまうことがあります。特に、ストックの取り扱いには注意しましょう。ストックをつかないで持って歩く際は、後ろの方に向けて歩くと危険ですので注意してください。
そのほかにも大音量でラジオや音楽を流して歩くのや、ヘッドホンを付けて歩くのはマナー違反です。静かな自然を楽しみに来ている方もいますのでやめましょう。上記のことをしていると周囲の音が聞こえない為、落石や野生動物などの危険に気づけず、非常に危険な状態になりますので、心がけましょう。
⑫石を落としてしまったら、下に向かってすぐに声をかける。
登山をしていると、気を付けて歩いても石を落としてしまうことがあります。小さい石でも落下していくことで凶器に変わってしまい、大事故につながります。石を落としてしまったときや落石を見かけたら、すぐに「ラーク」と叫び、大声で知らせましょう。
自分も過去に富士登山で大きな岩が落ちてきた際に、下にいた外国人登山客の方に声をかけることをして、避難してもらえた経験があります。慣れないと忘れがちですが、必ず実行しましょう。

⑬基本登り優先・道を譲る際は山側で待つ。
登山道は基本的に登り優先ということが暗黙のマナーとなっています。これは、登りの人は体力的にきつい状態であり配慮するという事と、下りの人のほうが相手に気づきやすく、すれ違う場所も探しやすい為と言われています。
ただし、登り優先については状況にもよる為、臨機応変に対応が必要です。例えば、ツアーで大人数で登山している場合や、人気の山で登りの人数があまりに連続したら、下りの人はなかなか前へ進めない状況になります。そんなときは互いに声かけし、譲り合いましょう。道を譲る際は、できるだけ山側で待機しましょう。谷側で待っていると、すれ違う際にザックが当たったり、人がよろけてきた際にバランスを崩し滑落してしまう可能性が高まります。また、譲ってもらったら「ありがとうございます。」などの声掛けをしましょう。

⑭すれ違う登山者に挨拶する。
恥ずかしがらずにすれ違う際は挨拶をしましょう。登山道ですれ違う際は挨拶する事がマナーとなっています。この挨拶には実は意味があり、万が一遭難者が出た際に、挨拶をしていることで、すれ違った登山者の記憶に残っていて、捜索の手がかりになる場合があります。
ですので、挨拶をする際はしっかりと挨拶をすることが相手の為にもなり、自分の為にもなります。また、山での挨拶や会話は、ほんとに気持ちが良いものですので、実践しましょう。
⑮携帯トイレを持参しよう。
行きたい山によっては、山頂付近に山小屋やトイレがない場合があります。その際に携帯トイレが役立ちます。
用便が我慢できない場合は、登山道から離れた安全な場所で(見られたくないからと、崖などで行なうのは危険)、携帯トイレを広げて用を足すようにしましょう。防臭袋が付属していますので、しっかりと口を閉めて密閉して持ち帰りましょう。お住まいの地区の処理方法に従って捨てましょう。ちなみに、自分の地区は燃えるゴミです。災害時にも役立ちますので、買っていて損はないと思います。購入はインターネットや登山用品店で購入できます。自分はモンベルの簡易トイレを必ず持参するようにしています。
携帯トイレを持っていなくてどうしても便意が我慢しきれない際は、少し穴を掘って用を足し、便を埋めましょう。埋めないと分解されないまま沢へ流れ込み沢を汚してしまう可能性があります。また、あまり穴が深いと分解が遅くなると言われているので、10㎝程度の深さが適切です。携帯トイレを持っていなくても、使用した紙は密閉袋に必ず入れて持ち帰りましょう。

まとめ
いかがでしたでしょうか? 下記がマナーの一覧です。
登山マナー15選
- 必ず登山保険に加入する。
- 登山計画を知り合いに伝え、登山計画を必ず提出する。
- レベルに合った登山をする
- ゴミは家まで持ち帰る。
- 汚水や残飯を捨てない。
- 植物や石などむやみに採取しない。
- 登山道から外れない
- 登山道をふさがない。
- 山のトイレは、ルールを守る。
- 山での行動は早発ち・早着きを心がける。
- 登山中は周囲への配慮・注意を怠らない。
- 石を落としてしまったら、下に向かってすぐに声をかける。
- 基本登り優先・道を譲る際は山側で待つ。
- すれ違う登山者に挨拶する。
- 携帯トイレを持参しよう。
これまで説明させていただいたように、登山でも様々なマナーがあります。マナーを守ることで他人に迷惑をかけることなく、気持ちよく登山ができます。そして、大自然を大切に登山をしましょう。ぜひ山での非日常を味わってください。あなたの安全登山を応援します!やってみよう!