登山で遭難した場合はどうすればいいのか
山での遭難事故のニュースを目にすることが多くなってきていますよね。ただ、遭難したことがないから、いざ遭難した場合にはどのような対処をすればよいかわからないと思います。また、遭難といっても道迷いや気象遭難など色々な種類があります。
コロナ自粛が薄れた最近では、富士山での遭難事故や北アルプスでの遭難事故が前年に対して急増しています。計画が甘かったり、体力不足だったり、経験不足で想定外の事が起きてしまい遭難になっています。遭難した場合の対処法を、最低限知っているだけで助かる可能性が上がります。ぜひとも知識を学び、安全登山を一緒にしていきましょう。
そこで今回は、「遭難してしまった場合の対処法・おすすめのアイテム」を紹介していきます。
遭難の種類と対処法
道迷い
初めに、【道迷い】による遭難です。遭難と言われて、一番イメージされるのが道迷いかと思います。令和3年度(夏期)の遭難発生構成比率で30%と一番の発生割合となっています。登山をされた事がある方だと、一瞬道に迷ってヒヤッした事があると思います。道に迷ったものの遭難に至らなかったのは、正しいルートに戻る事ができたからです。道迷いは、山岳読図やGPS機器で防ぐことができますので道迷いしないように準備しましょう。
道迷いの対処法
山で道に迷ってしまったときには、とにかく正しいルートに戻ることを優先させましょう。道に迷ったと気づいたときは少しパニックになってしまいがちです。まずは、その場で休憩を取って、行動食や水分を補給する事で気持ちを落ち着かせて、冷静さを取り戻しましょう。冷静さを取り戻したら、まずは、周囲の地形をよく観察してみましょう。意外と登山道を見落としているだけの事が結構ありますので、これだけで正しいルートに戻れたりします。それでもわからない場合はスマホの地図アプリもしくは、地図とコンパスを使い現在地のあたりを付けましょう。それでも現在地や正しいルートがわからない場合は、最後に現在地を確認した地点(看板や建物など)まで引き返しましょう。
どうしても引き返す道すらわからない場合は、山を登っていきましょう。登ることで尾根や山頂に上がることができます。ピークや尾根に上がれば視界が開ける事で、地図とコンパスでの現在地の確認が容易になります。また、日本の山の登山道は ピークや尾根を通っていることが多いため、登山道に戻れる可能性が高いです。ただし、視界や天候が悪いときには無理に行動せず、風雨を避けられる場所で体力を温存しながらじっと待機しましょう。
逆にやってはいけない行動は、【沢を下る】ことです。下へ向かっているため、「このまま下山できるのではないか」と錯覚して、つい入り込んでしまいたくなります。しかし、下っていくうち に、やがて崖や滝や堰堤などに突き当たって下れなくなります。また、下ることはできても登れない場所があり、どうする事も出来なくなります。それを無理やり下ろうとして転落しまう事故が後を絶たないので、絶対にやめましょう。自分も一度道に迷いかけた時に沢におりかけた際に、気付いて引き返そうとしたのですが、思った以上の急登で足場もしっかりしていなかったため、戻るのに非常に苦労した思い出があります。
転倒・滑落
遭難で次に多いのが、転倒・滑落です。令和3年(夏期)の遭難発生の構成比率では、転倒が20.3%・滑落が16.6%となっています。合計すると、意外にも1番の発生になっています。尾根ぞいを歩いている際に転倒してしまうと、谷に落ちてしまったり、岩場を登っているときに手を滑らせて滑落すると何mも落ちてしまう可能性があります。やはり、転倒・滑落は発生させてしまうと大きなケガになってしまう可能性が高いので、特に注意が必要です。
転倒・滑落の対処法
登山道具は日頃から手入れをしましょう。登山靴の靴裏がはがれていたり、ストックが折れそうな状況で登山をすると転倒・滑落の危険が高まります。登山前にチェックしましょう。また、自分のレベルに合った山行計画を立てる事も重要です。山の難易度を「体力度」「技術度」で設定したグレーディングが各自治体で設定されています。グレーディングを確認しながら自分に合った山を選びながら、徐々にレベルを上げていきましょう。滑落しやすい山岳に行く際は、落石に備えてヘルメットを必ず着用しましょう。
気象遭難
気象が関わっている遭難を気象遭難に分類されます。山での悪天候は、街中では考えられないほどのリスクがあります。登山中に悪天候に見舞われると命が危険にさらされてしまいます。、悪天候という条件では、道に迷ったり、冷静さを失ったりして、滑落などの危険性を高めてしまいます。悪天候は、見えないところでほかの遭難リスクに直結しています。特に、悪天候の代表的な状況が「雨が降り、強風が吹いている」状況です。この状況下では雨で体を濡らし、強風でさらに体温が奪われる事で低体温症になり、命の危険にさらされてしまいます。
気象遭難で有名なのがトムラウシ山遭難事故です。北海道でのツアー登山での事故となります。7月という夏山の季節にも関わらず、北海道大雪山系トムラウシ山にて悪天候に見舞われ、ツアーガイドの方と登山者の計8名が低体温症にて死亡した痛ましい事件になります。
気象遭難の対処法
気象遭難を防ぐ一番の方法は、悪天候を回避する事です。回避する為に、天気予報サイトの利用をおすすめします。天気予報サイトの活用方法としては、複数の天気予報サイトを確認する事が重要です。また、登山計画も第三候補くらいを用意して、選べるようにしましょう。気象遭難に大きく関連する、雷予報と風予報に特化したサイトも必ず確認するようにしましょう。
天気予報サイトをまとめた記事のリンクを下記に貼っておきますので、詳しく知りたい方はのぞいてみてください。
疲労により動けない
初心者のうちに陥りやすいのが、疲労により動けなくなる遭難です。疲労遭難は、令和3年(夏期)の構成比率では9.9%となっており、意外と多くなっています。近年では、普段登山をされていない方が富士山の日帰り登山(弾丸登山)を行う事で、疲労で動けなくなり救助要請が問題視されています。
疲労への対処法
一番重要なのは、自分のレベルにあった山選びをする事です。転倒・滑落でも紹介した山のグレーディング表を活用しましょう。特に、体力度をしっかりと確認して、行ったことのある山の体力度と行きたい山の体力度を比較してみましょう。あまりにもかけ離れている場合は、山行をやめて徐々にステップアップして行けるように体と技術を身に着けていきましょう。登山計画の立て方をまとめた記事のリンクを下記に貼っておきますので、詳しく知りたい方はのぞいてみてください。
クマとの遭遇
危険生物による遭難があります。スズメバチやイノシシなどがいますが、なかでも注意が必要なのが、クマです。近年も熊を人が襲うニュースや熊が街中に出没するニュースが絶えません。北海道ではヒグマ、本州と四国ではツキノワグマが生息しています。クマは鋭い爪と大きな牙をもっています。ひとたび出会って引っかかれたり、押し倒されたりすると大けがを負う事になります。足も速く、人間が走って逃げるのは不可能です。クマは、一度自分の物となったものへの執着心がすごいことが知られており、クマに荷物をあさられたら、荷物を取り戻さないなどのクマの性質を理解する事で、遭遇する確率をへらしていき、遭難しないようにしましょう。
クマへの対処法
基本的なクマへの対策は、「音を出して存在を伝える」・「早朝と夕暮れには注意する」・「一人で行動しない」・「茂みにはいらない・香水や整髪料を付けていかない」・「食料の管理をしっかりする」の6項目です。クマへの対策をまとめた記事のリンクを下記に貼っておきますので、詳しく知りたい方はのぞいてみてください。
遭難でも生き延びる おすすめアイテム8選
GPS機器
道迷いを防止するのに、一番役に立つのが、GPS機器です。この機器を活用する事で、GPS機能で即座に自分の現在地を把握できます。現在地を把握できると正しいルートに戻ることも出来るし、ルートの確認も簡易に確認ができます。おすすめアイテムを紹介します。
GPS機器最強 【ガーミン GPSMAP66i】
SOS衛生通信ができるGPSナビです。携帯が圏外でも、衛星通信を利用する事でメール・現在地・SOSを発信する事ができます。また、あらかじめ設定しておいたメールアドレスに位置情報付きでメールする事が可能です。更には、ライブトラッキング機能があり、ONにする事で家族や知人がインターネットでリアルタイムに位置情報を確認する事ができますので、連絡もなく何日も停滞している事を確認する事でトラブルに気付いてもらえます。登山中にトラブルに見舞われてもこれを持っていれば安心できる最強の機器です。ただ、使用するには機器を購入後に月額2500円の衛星通信サービスに申し込む必要があります。正直高いですが、単独行をされる方は、命には代えられないので購入を検討してみてはいかがでしょうか。
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感想(2件)
エマージェンシーシート
アウトドアでの活動には必携のアイテムです。エマージェンシーシートは、道迷いやけがで動けなくなった際に、救助してもらえるとは限りません。夏山でも標高の高い山では、日没後は急激に冷え込みます。このようなときにエマージェンシーシートで体を包み込み、体温の低下を防ぐものです。あることで助かる可能性を高める事ができます。また、持ってきた防寒着が足りなかった場合にも活用することができます。
定番!【SOL(ソル)のエマージェンシー ヴィヴィ オレンジ】
SOLの製品は困難な状況に陥った際に真価を発揮する本物のサバイバルギアです。
ポリエチレン素材を寝袋上に加工されており、内面にアルミ蒸着加工がされています。
体熱の90%を反射して、内側にとどめることで、ビバークの際に保温し体温低下を抑制していきます。しなやかな手触りでガサガサ感が少なく、片手サイズに収まる大きさでかさばりません。※透湿性がないので注意してください。
ケースのドローコードは緊急時、火おこしの着火材としても使用する事ができます。また、ドローコードの先端にはホイッスルがついています。
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ヘッドライト
ヘッドライトは登山する上での必携品です。山の中では、街中より日が落ちるのが早いです。それに加え、日が落ちた後の山の中はまさに暗闇となってしまい、光がないと全く見えなくなります。遭難してしまった場合に必要です。光があることで、精神的に安心感を得る事もできますし、登山道を照らす事ができます。
おすすめのヘッドライト 【ペツル アクティック】
ペツルは、クライミングギアのメーカーです。登山ヘルメットやヘッドライトなどは、プロを含む幅広いユーザーから支持されています。アクティックはコンパクトで軽量なモデルとなっており重量は86gです。さらに高い照射力を持っており、最大 350 ルーメンとなっています。ペツルのハイブリットコンセントを採用しており、電池とバッテリーの両方に対応しているモデルとなっており、すべてのユーザーに対応できおすすめです。
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PETZL(ペツル) アクティックコア 最大450ルーメン ブラック E099GA00
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ツエルト
ツエルトも登山では必携のアイテムです。聞きなれないツエルトですが。道迷いやケガなどをして日没になってしまったときなどに緊急の宿泊時に使用するもので、別名”ビバーグテント”とも呼ばれています。山岳テントに比べて軽量のため、普段の行動時に負担なく持ち運べます。緊急時に寒さや雨などから守ってくれる非常に重要なアイテムです。特にソロ登山をされる方は必ず持参しましょう。
おすすめのツエルト 【ファイントラック ピコシェルター(1~2人用)】
緊急避難用の1~2用シェルター(ツエルト)です。
気軽にバックパックに入れられる超軽量コンパクトです。大人2人が座って待避・休憩できるサイズとなっており、急激な天候悪化やビバークなどの非常時に重宝します。
ポンチョのようにかぶることも可能な点が特徴で、雨具を忘れたときの代わりのほか、プラス1枚の防寒着にもなります。ツエルトとして十分な耐水圧を備えながら、優れた透湿性を備えており、結露を軽減させてくれます。
※縫い目部分の目止めは行っておりません。縫い目部分を目止めすることで、防水性を向上させることができますので、実施する事をおすすめします。
※張り綱・ポール・ペグは付属していませんので注意してください。
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熊スプレー
本格的な登山をやるときに購入を悩むのが、熊スプレーだと思います。熊と遭遇する事はまれなことではありますが、熊に出会ってから後悔するのでは遅いです。値段は高いですが命には代えられません。銃を携帯できない登山者で唯一熊に攻撃できる武器となります。いざという時の保険と思って購入をおすすめします。
おすすめの熊スプレー 【ラングスジャパン 熊撃退スプレー ホルダーケース付き】
世界トップシェアのmaceで熊撃退用に開発された護身スプレーになります。屋外でも風に左右される事なく目標に向かって幅広いエリアに瞬間噴射、約10mの飛距離を誇ります。
非常食
皆さん、食事や行動食は持っていきますよね。非常食は持って行っていますか?行動食を多めに持っていかれる方もいますが、行動食を多めに持っていくのではなく、別で準備しましょう。非常食を持っていると、道迷いなどでの遭難時にエネルギーを補給する事で生き延びる確率を上げる事ができます。登山を行く際は持っていきましょう。
おすすめの非常食 【練乳】
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浄水器
遭難してしまった場合に水が無いと困ってしまいます。沢に水が合っても飲める水なのかわかりません。そういう時に便利なのが浄水器です。一見して清潔に見える沢の水でも大腸菌が潜んでいたり、北海道ではエキノコックス症になってしまう恐れがあります。そういう、一見きれいに見える沢の水を、浄水器は飲める水に変換する事ができます。
おすすめの浄水器 【ソーヤ ミニ】
ソーヤー ミニは手のひらサイズの高性能浄水フィルターです。付属している注射器で洗浄することで、フィルター交換せずに約38万リットルを使用できる為、毎日5Lほどろ過したとしても、約208年間持つ計算となりますので、ほぼ一生使うことができます。安全に使用する為に説明書を必ず読んで、使用方法を理解しましょう。
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ファーストエイドキット
ファーストエイドキッドとは救急セットの事です。登山におけるファーストエイドでは、これといった決まりはありません。登山をする上で程度起こりうる怪我などを想定して選ぶ必要があります。ここでは、使用頻度が高いものを紹介していきます。応急処置などをする為にファーストエイドキッドも登山では必ず持っていきましょう。
目薬
ファーストエイドキッドとして、目薬は意外かもしれません。山で目にゴミや塵が入った事を想像してください。目薬が無いと新鮮な水で洗わなくてはならず、困ってしまいます。また、山では紫外線が多く降り注いでいますので、サングラスとともに目薬を差す事で目の疲労を軽減する事ができます。
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絆創膏
皆さんご存じの絆創膏です。山では、ちょっとした事で擦り傷や切り傷をしてしまう事があります。そういう時に、傷口を水で洗い流して、絆創膏を貼って手当します。自分は、大きさの違う絆創膏を何種類か持って行っています。
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テーピング
登山では、自力で下山するのが基本です。しかしながら、登山をしていると足を捻ったり、挫いたりしてしまったり、膝が痛くなったりして下山がつらくなることがあります。その時に活躍するのがテーピングです。ただし、テーピングは慣れていないと使えないので貼り付ける練習をして、動揺しているときでも使えるようにしましょう。
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まとめ
これまで紹介させていただいたように、遭難にも色々な種類があり、対処方法もまちまちです。基本は遭難しない為の準備が一番大切です。しかしながら、遭難してしまった場合にそれぞれの対処法を、最低限知っているだけでも助かる可能性を上げる事ができます。
遭難対策のアイテムを購入して、山歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか。
準備をする事で安心して登山に望めます!ぜひ山での非日常を味わってください。あなたの安全登山を応援します!
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